
人手不足をカバーするための手段としてBPOやアウトソーシングは広く知られるようになりましたが、近年「デジタルBPO」というものも注目されています。
本記事では、デジタルBPOとは何か、従来のBPOとは何が違うのか、企業がデジタルBPOを導入するメリットやデメリット、導入事例などもあわせてご紹介します。
デジタルBPOとは?
デジタルBPOとは、デジタル技術を活用してさまざまな業務を外部の専門企業へ委託するサービスのことです。
より簡潔に表現すれば、「デジタル技術を活用したBPOサービス」ともいえるでしょう。
業種や職種に限らず、デジタル技術は業務を遂行するうえで欠かせないツールとなっており、日々さまざまなITシステムが運用されています。
近年では、AIやRPAといった先進的なITツールも積極的に活用されるようになり、これまでとは比べものにならないほど業務のスピードアップや効率化が可能になりました。
しかし、これらのツールをどのように活用すれば良いのか分からないという企業も少なくありません。
そこで、先進的なデジタル技術を駆使しながら業務プロセスを委託するデジタルBPOというサービスが登場しました。
BPOやアウトソーシングとの違いは?
デジタルBPOとは「デジタル技術を活用したBPOサービス」とご紹介しましたが、あらためてBPOの定義や概念をご紹介しましょう。
BPOとは「Business Process Outsourcing(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)」の略称で、企業の内部で行ってきた業務プロセスを外部の専門企業に委託することを指します。
BPOとアウトソーシングの違い
一般的なアウトソーシングはデータ入力や給与計算、コールセンター業務など、特定の業務を抜き出して委託するサービスを指します。
アウトソーシングでは業務の手順や方法を明確に定めておく必要があります。
これに対し、BPOの場合は業務設計や業務プロセスの改善、効率化なども含めて外部企業に委託することができます。
アウトソーシングのように業務の手順や方法などがマニュアル化されていなくても委託できるほか、現在の手順・方法を根本から見直し改善につなげることも可能です。
BPOとデジタルBPOの違い
デジタルBPOとBPOの違いを一言で表すと、デジタル技術を駆使したものがデジタルBPOであるのに対し、BPOはそれ以外のアナログ的な手法によって遂行される業務も含まれます。
たとえば、コールセンターの人手が少ないため有人オペレーターによる対応や業務効率化を委託する場合はBPOにあたり、チャットボットなどを導入してコールセンター業務を自動化する場合にはデジタルBPOに該当するでしょう。
広い意味で捉えるとデジタルBPOはBPOの一部であると表現できるのです。
デジタルがBPO注目されている理由
従来、BPOというサービスが存在していたにもかかわらず、デジタルBPOが注目されるようになったのはなぜなのでしょうか。
その背景には多くの企業が取り組んでいる「DX(デジタル・トランスフォーメーション)」があります。
DXとは「デジタル技術を活用しながらビジネスモデルの変革や業務そのものの改革、さらには組織や企業文化・風土を変革し、企業の競争力を高めること」であり、企業だけでなく官公庁などさまざまな組織において取り組みが進められています。
身近な業務で考えるとペーパーレス化もDXの第一歩といえますが、単にアナログの情報をデジタル化しただけでは従来のBPOと何ら変わらず、ビジネスモデルの変革や業務そのものの改革につなげることは難しいでしょう。
真のDXを実現するうえでは、たとえばデジタル化したデータをAIによって分析し売上予測を立てたり、コールセンターへ入電のあった問い合わせ内容とその回答をAIに学習させ対応を自動化したりと、一歩踏み込んだ対策が必要です。
そのための手段としてデジタルBPOが大きな役割を果たします。
デジタルBPOのメリット・デメリット
企業がデジタルBPOのサービスを利用することで、どういったメリットが得られるのでしょうか。
また、反対にデメリットとして考えられることもご紹介します。
メリット
企業がデジタルBPOを活用するメリットは以下の3点です。
人手不足への対応
業務プロセスそのものを外部の専門企業へ委託するということは、自社の人手不足をカバーできることも意味します。
また、膨大かつ複雑な業務であったとしても、デジタルBPOであれば人間よりもはるかに多くの仕事を短時間で完結でき、従来のBPOよりも業務効率化が期待できるでしょう。
定量的な仕事はデジタルBPOによって削減され、空いた時間と人手を製品開発や新規事業の企画などのコア業務に割けるようになります。
ミスの抑止
BPOやアウトソーシングでは専門のスタッフによって正確かつスピーディーな作業を実現できますが、人間である以上はミスを完全になくすことはできません。
デジタルBPOであればさまざまなITツールやソフトウェア、システムなどを駆使し自動化ができるため、業務の信頼性を大幅に向上させることができるでしょう。
デジタル技術に関するノウハウの活用
人手不足や業務品質の向上にデジタル技術が役立つと知っていても、専門的なノウハウや知見をもった人材がいないと業務の自動化や効率化は実現できません。
デジタルBPOのサービスを提供する専門企業に委託することでノウハウが活用でき、自社の業務に最適なシステムやその運用方法も知ることができます。
デメリット
上記とは反対に、デジタルBPOのデメリットとして考えられる点もご紹介しましょう。
コストがかかる
デジタルBPOを外部の専門企業へ委託するためには費用がかかり、委託の期間が長くなるほどコストも増大していきます。
突発的なトラブルに対応できない
ITシステムやツールは導入して終わりではなく、その後もメンテナンスや更新などの作業が不可欠です。
社内にシステム運用を担う人材が不在のまま外部企業への委託を終了してしまうと、突発的なトラブルが発生したときに対応できなくなるリスクが考えられます。
デジタルBPOを導入すべき企業の特徴
上記で紹介したデジタルBPOの概要やメリットなどをもとに、導入効果が期待できるのはどういった企業なのか、考えられる特徴をご紹介しましょう。
新規事業の開発に取り組んでいる企業
従来のBPOといえば、現在の業務をいかに効率化するかという観点で依頼するケースが多くありました。
しかし、デジタルBPOでは単なる業務の自動化や効率化だけでなく、膨大なデータをAIによって分析し事業戦略に活かすという活用方法もあります。
たとえば、自社の顧客リストや購買データなどを分析することで、新たな顧客ニーズが割り出され新規事業や新製品の開発に活かすこともできるでしょう。
また、定量的な業務を自動化することで人的リソースにも余裕が生まれ、新規事業開発に割くリソースを確保しやすくなるはずです。
スマートファクトリー化を目指す製造業
製造業では工場の稼働を上げることが収益アップにも直結しますが、従来は現場で働く従業員の経験や勘に頼って生産管理を行うケースが少なくありませんでした。
このような生産現場での課題を解決するために、IoT機器を活用したスマートファクトリーが注目されていますが、収集されるデータは膨大なほかデータ解析には専門的な知識も不可欠です。
デジタルBPOを活用することで、IoT機器から集められた膨大なデータを瞬時に分析でき、スマートファクトリーを実現するうえでの大きな手助けとなるでしょう。
デジタルBPOの導入事例
デジタルBPOは具体的にどういった業務に役立てることができるのでしょうか。導入事例をいくつかご紹介します。
アンケートの自由記述項目入力
顧客や従業員などから収集した紙のアンケートは、一般的に手作業によって集計作業が行われます。その中でも特に多くの手間がかかるのが自由記述項目の入力作業です。
文字を読み取るOCRとよばれるソフトウェアもありますが、精度は高いといえず手直しが必要になるなどの課題がありました。
そこで、AIを活用した「AI-OCR」というシステムを活用することで従来のOCRに比べて格段に精度が上がり、短時間での集計が可能になったというケースがあります。
車両メンテナンスシートの電子化
あるカーリース会社では、自社が管理している車両の整備状況を把握するために「車両メンテナンスシート」を運用していました。
しかし、人手不足やテレワークの推進、顧客の問い合わせ対応などによって業務負荷が増大したため、紙で運用していた車両メンテナンスシートを電子化することに決定。
入力作業にRPAを活用したことで、業務の負担軽減と品質向上の両立を成功させています。
ジェイエスフィットはニーズに合わせたBPOサービスを提供
BPOやアウトソーシングを手掛ける専門業者は数多く存在するため、どこに依頼すべきか迷ってしまうこともあるでしょう。
デジタルBPOを検討しているのであれば、単なるBPOやアウトソーシングの事業者ではなく、システム開発やインフラの運用といったデジタル分野に強い事業者を選ぶことが大切です。
ジェイエスフィットでは「システムソリューション」「インフラソリューション」「BPO」という3つの事業を柱としており、デジタル化やDXを推進するお客様を強力にサポートしています。
また、NTTデータのグループ会社ということもあり、ICT分野で培った豊富な知見やノウハウを活かし多くのお客様から信頼をいただいております。
「ITやデジタル技術を活用して業務の負担を軽減したい」「システムを導入したいものの知見やノウハウがなく困っている」という場合にはぜひ一度ジェイエスフィットへご相談ください。
まとめ
AIやRPAなどのデジタル技術を活用したデジタルBPOは、人手不足への対応や業務品質の向上、そしてデジタル技術に関するノウハウを活用できるといったさまざまなメリットがあります。
その一方で、長期的に委託するとなるとコストがかさんだり、デジタル技術に関するノウハウが吸収できないと突発的なトラブルに対応できないなどのリスクもあります。
自社のどのような業務がデジタルBPOに対応できるのか、導入における悩みや不安がある場合には、まずはお気軽にNTTデータグループのジェイエスフィットへご相談ください。